会社設立

会社設立の登記には何が必要?申請場所は?登記申請シミュレーションで詳しく解説

会社設立をするための法人登記。どんな書類が必要で、どうやって揃えたらいいのでしょうか。登記申請の準備から会社設立後の届け出までの流れを、シミュレーションで詳しく解説していきます。

会社設立のための登記申請とは

「登記申請」とは、会社法により定められている、登記の事由が発生した時から2週間以内にしなければならない「商業・法人登記申請」の事です。まずは、概要をみていきましょう。

法人設立には登記が必要

法人にあたる、株式会社、持分株会社(合同会社・合名会社・合資会社)、一般社団法人・一般財団法人、その他会社法人(社会福祉法人・NPO法人など)を設立する場合、法務局へ法人登記申請をしなければなりません。

✳︎以下では、主に「株式会社」の設立についてお伝えしていきます。

登記申請場所

法人登記申請は、営業所の所在地(会社の本店)を管轄する法務局・地方法務局等で行います。登記所の管轄については、法務局ホームページ「管轄のご案内」で調べることができます。

登記申請に必要な費用

登記申請には費用が掛かります。株式会社の場合の費用は次の通りです。

  1. 商業・法人登記の登録免許税15万円または資本金の0.7%のうち高い方

    ※国税庁ホームページで区分別課税額を調べることができます。

  2. 定款認証手数料         50,000円
  3. 定款用収入印紙代        40,000円
  4. ❇︎電子申請の場合不要

  5. 定款の謄本手数料 (用紙一枚毎に250円) 約2,000円

登記申請完了までに必要な期間

「商業・法人登記申請」の登記申請書類が受付されてから登記完了までの処理期間は、登記申請を管轄する法務局のホームページ「登記完了予定日」で確認できます。

❇︎郵送で申請する場合、申請書類が管轄法務局に到着次第の受付となります。

登記申請シミュレーション【①事前準備】

ここでは、登記申請に必要な事前準備についてお伝えしていきます。

登記申請前に決めておくべき準備項目4つ

登記申請をする前に、決めておくべき主な項目は次の通りです。

  1. 会社の種類
  2. 商号
  3. 資本金額
  4. 役員報酬額

会社の種類を決める

法人(会社)には、「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」4種類の形態があります。あなたの事業内容・各種条件・各形態のメリット・デメリットなどをよく考慮して、自分に合った事業形態を選びましょう。

商号を決める

商号とは、会社の名称のことです。会社名は自由に決められますが、「同一住所に同一の商号がある場合は登記できない」などの決まりがあるので、確認しておきましょう。また、各種申請へ代表者印の押印が必要となり、代表者印自体の届け出自体も必要となりますので、商号が決まり次第、早めに印鑑業者へ作製依頼しておきましょう。

資本金額を決める

法律上は株式会社設立のための資本金は1円から設定できますが、資本金は会社設立時の運転資金であり、会社の信用にも関わってきます。3か月~半年間の運転資金を基準として100万円〜1,000万円が一般的です。

役員報酬額を決める

役員報酬は事業開始から3ヶ月以内に決めなければいけないルールがあるため、会社設立前に綿密な事業計画を練ることが大切になります。一度決めてしまうと基本的に年度途中の改変ができないので、会社設立前にしっかり計算しておきましょう。

登記申請シミュレーション【②登記申請書類を揃える】

登記申請に必要な書類・添付書類はどのようなものなのかみていきましょう。

登記申請に必要な書類

登記申請に必要な書類は事業形態によって変わってきますが、株式会社設立の登記申請で主に必要なものは、次の6種類となります。順番に揃えていきましょう。

  1. 定款
  2. 振込証明書
  3. 就任承諾書
  4. 登記申請書
  5. 登録免許税の収入印紙を貼付した台紙
  6. 印鑑届出書

定款の作成

定款とは、会社の根幹となるの基本規約・基本規則のことです。日本公証人連合会の「定款記載例」や、法務局の「商業・法人登記の申請様式」などを参考にして作りましょう。作成できたら、公証人役場へ行って「定款認証」をしてもらいます。

資本金の振り込み、振込証明書の作成

資本金は「振り込み」することが必要となりますので、まず自分名義の口座に資本金を振り込みます。後日、会社設立後に開設できる法人口座が出来次第、個人口座から法人口座へ資本金を移すという流れになります。

❇︎資本金の振り込み日の日付は、定款認証日より後になっていなければなりません。

振り込み後に自宅のPCなどで「払込証明書」を作り、通帳の「表紙」「1ページ目(裏表紙)」「振り込みをしたページ」をそれぞれA4紙にコピーしたもの計4枚を順番に綴じて製本してから、綴り目に会社代表者印を押印して保管します。

就任承諾書の作成

設立時の取締役、代表取締役、監査役が就任を承諾した証明書を添付します。登記申請に必ずしも必要な書類ではないため、自分の会社の形態に合わせて判断しましょう。

登記申請書

登記申請書は形式が決まっています。法務局のホームページの「商業・法人登記の申請書様式」から書式のダウンロードをして必要事項の記入に使用します。CD-Rなどによる電子申請も可能です。

収入印紙貼付済の台紙を用意する

収入印紙を郵便局等金融機関や法務局内の印紙売り場で購入して貼り付けます。

印鑑届出書を用意する

印鑑届出書とは、会社の実印となる代表者印を法務局に届け出るための書類です。登録後は印鑑証明書を発行してもらうことができます。

登記申請シミュレーション【③登記申請をする】

登記書類を全て揃え終わったら、いよいよ申請です。法務局ホームページ「申請で間違いやすいチェックポイント」などを参考に事前に申請書類の記入内容、添付書類の見直しを十分行ってから申請に臨みましょう。

法務局へ行って申請する場合

①会社住所を管轄する法務局・地方法務局・支店などが「『法人・商業登記申請』を受け付けているかどうかの確認」と、「開局時間の確認」をしておく。

②法務局の登記申請窓口へ行き、受付をする。
❇︎司法書士に代理申請を依頼する場合は委任状が必要です。

③申請受付後、法務局による審査が行われ、後日完了を確認できます。提出された申請書・添付書面について不備があった場合には、登記所から申請人又はその代理人に連絡されます。

郵送で申請する場合

登記申請書類を郵送する場合は、到達の確認が可能な書留で送付するようにします。「会社設立日」は、申請書類が到着し、書類の不備などがなく受付された日となりますので、特定の日を会社設立日に定めたい場合は「配達日指定」での郵送にしましょう。

会社設立完了したら

会社設立が完了すると、国税庁から法人番号指定通知書が届きます。国税庁の「法人番号公表サイト」にも設立登記完了日の16時又は翌稼働日の11時に同番号が掲載されるので、「新たに設立登記をした法人の基本3情報(商号・事務所所在地・法人番号)」を検索できるようになります

設立後に必要な届出・申請

会社設立が完了次第、必要になる届け出・申請があります。申請期限が定められているものもありますので、すみやかに届け出や申請を済ませましょう。

印鑑カードの交付
法務局で交付を受けた印鑑カードを用いて、「印鑑証明書」の発行をしてもらいます。会社設立後に使用する機会に備えて5、6枚まとめて入手しておくようにしましょう。
税務署への届出・申告
会社の所在地を管轄する税務署へ届け出を行います。
都道府県税事務所・市町村役場への届出
「法人設立届出書」を、本店所在地の都道府県税務署へ提出します。
社会保険手続き
年金事務所で「社会保険」に加入します。また、従業員がいる場合は労働基準監督署にて「労災保険」の加入手続き、ハローワークにて「雇用保険」への加入手続きをします。

法人口座を開設しよう

会社設立が完了したら、銀行の窓口やインターネットで法人口座を開設します。会社設立のために既に個人口座へ振り込んで保管してあった資本金を、法人口座に移します。

まとめ

会社設立をするために、どこで何をしたらいいのか、どんな書類を揃えたら登記申請ができるのかイメージすることはできましたか?

申請書類の作成は複雑で、抜け・漏れないよう完成させるのはなかなか手間の掛かる作業となります。少しでもわからない事や不安な事があったら、まずは専門家に相談してみることをおすすめします。プロの経験と確かな知識を活用しながら、どんどん解決していきましょう!