会社設立 会計

日々の税務管理の内容や、会社設立後に必要な手続き

会社設立後にあるさまざまな手続き、日々の業務のなかには税務に関する内容も多くあります。今回は、税務管理とは何か、税務関係の必要な手続きなどについて解説します。

税務管理とは

会社を設立すると、以下の5つの税金を納めなくてはなりません。

国税(国に納める税金)として

  • 法人税
  • 消費税

地方税(都道府県または市区町村に納める税金)

  • 法人住民税
  • 法人事業税
  • 固定資産税

これら会社にかかる税金に関する書類の作成や手続きをおこなうことを、税務管理といいます。税務管理は労務管理に並ぶ重要な業務の1つで、専門的な知識を伴うこともあります。

税務管理は責任重大な業務の1つ

国や地方自治体を相手に税に関する手続きをおこなう税務管理は、重い責任のある業務です。法人税をはじめとした会社が支払う税についての計算や書類作成が税務管理の主な業務ですが、税務会計がきちんとしているかどうかは会社の信頼にも繋がるため、不備のないようおこなう必要があります。

税務管理に必要なスキル

税務管理は高い専門知識と豊富な実務経験が必要なため、税理士などの専門家に任せている会社も多いです。また、司法書士なども会社設立時に必要な税務書類の作成や相談に乗ってくれます。

専門性の高い業務内容かつ、ミスがあると脱税と取られる可能性もあるため、税務管理については専門家のアドバイスや手伝いを得ながら行なっていくのがおすすめです。

日々の税務管理の内容

会社設立後におこなう税務管理は、法人税や法人住民税、法人事業税、消費税などの計算や申告書の作成などです。また、1年のまとめとなる「決算報告書」の賃借対照表や損益計算書、さらに勘定科目内訳明細書、事業概況書の作成なども、税務管理の業務に含まれます。

「税」と一言でいってもさまざまな書類の作成や手続きがあるため、特に一人法人などの場合、日々の業務と並行して自分だけで全ての税務管理を完結するのはやや難しいといえるでしょう。

会社設立後、税務署に提出する書類

新たに会社を設立した場合、設立後に税務署に提出しなければいけない書類がいくつかあります。以下を参考にしながら、どのような書類が必要なのかを把握し、準備を進めてください。

法人設立届出書

まず必要なのが法人設立届出書です。会社設立後、2か月以内に提出します。これは自身が設立した会社の概要について、税務署に届け出るもので、代表者の氏名や住所、事業目的、事業開始年月日などを書きます。

法人設立届出書には「定款の写し」「設立時貸借対照表」「株主名簿」の3点を添付しなければなりません。「設立時貸借対照表」の書式は任意ですので、自身で用意する必要があります。

青色申告の承認申請書

確定申告には白色申告、青色申告の2種類があります。白色申告に比べ必要な書類も多く、手間が掛かる青色申告ですが、「青色申告特別控除」が受けられる他、節税メリットが多くあります。
青色申告で申告するには承認申請書を提出する必要があります。提出期限は会社設立から3か月以内、もしくは事業初年度の末日ですが、忘れる前に早めに提出するのがおすすめです。

申告の際に提出する帳簿の種類なども記入しなければなりませんので、どういった形式で帳簿をつけるかも事前に決めておきましょう。

給与支払事務所等の開設届出書

会社が従業員に給与を支払うのためには「給与支払事務所等の開設届出書」の提出が必要です。給与を費用として扱うための必要な手続きです。給与支払事務所として開設をしてから、1か月以内に提出します。

書類に記入する内容は、「開設年月日」や「給与支払を開始する年月日」、「届出の内容と理由」などです。

棚卸資産の評価方法の届出書・減価償却資産の償却方法の届出書

この二つの届出書は、会社が必要に応じて提出する書類です。どちらも最初の確定申告が提出期限で、棚卸資産の評価の方法や減価償却資産の償却方法をどうするかなどを届け出るためのものです。

これらの届出書を提出しなかった場合、棚卸資産の評価方法は「最終仕入原価法」で、減価償却資産の償却方法は定められた方法でおこなうとされます。

個人事業の開廃業届出書

個人事業主として開業届を出していた場合、個人事業の廃業を届け出る必要があります。また、個人事業主として提出した青色申告承認申請書についても、いったんとりやめの届出書を提出しなければならないので忘れないようにしましょう。

(任意)源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

源泉所得税は毎月納税するものですが、毎月となると手間がかかります。そこで従業員が10人未満の場合は「納期の特例」を利用することで、毎月だった納付を年に2回まで減らすことができるのです。

そのための手続きに必要なのが、この「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」です。こちらの申請書の提出は任意ですが、毎月の税務管理の負担を軽減させたいなら提出することをおすすめします。

尚、従業員が10人以上になり特例を受けられなくなった場合には「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を提出しなければなりません。

自治体に提出する書類

会社設立後には上記のように税務署に提出する書類だけでなく、法人住民税や法人事業税など地方税関係の書類は、都道府県や市区町村といった各自治体に提出しなければならないので覚えておきましょう。

地方税についての手続きは、自治体の管轄にておこないます。

  • 法人設立届出書
  • 定款の写し
  • 登記事項証明書(登記簿謄本)

を持って、都道府県の税事務所の「法人事業課(住民税課)」に提出します。市町村も同様の書類を持って、役所の法人住民税課に提出してください。

書類の提出期限については、各自治体によって異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

まとめ

会社設立時、設立後にはさまざまな税に関する業務が必須です。税務管理は専門性の高い内容のため、間違いのないよう専門家のアドバイスや手助けを得ながら進めていきましょう。

正しい税務申告をするためにも、日々の税務管理を怠らないようにしてくださいね。