一般財団法人とは?設立方法や設立のメリット・デメリットなどを解説
一般社団法人、一般財団法人という名前を耳にする機会はあると思いますが、具体的にどういった組織であるかご存じでしょうか。
今回は一般財団法人について、設立のメリット・デメリットや摂理う方法、公益財団法人との違いなどを解説します。
一般財団法人とは
まずは一般財団法人とはどのような組織か、一般社団法人と比べながらみていきましょう。
一般財団法人とは
一般財団法人とは2008年12月に施行された「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」によって設立が可能となった法人形態で、一般社団法人と同じく「非営利法人」となります。個人や法人からの寄付などにより拠出された財産を、拠出者の創意に基づいて運用することで活動を行います。
一般的に「財産」は物であることが多いですが、300万円以上の拠出金があれば誰でも設立することができ、目的に制限もありません。一般財団法人は一般社団法人と同じく非営利団体であるため、利益の分配はできませんが、利益を生んではいけないわけでもありませんし、給料や役員報酬を支払うこともできます。
公益目的の事業(23事業に限られる)に関しては、行政庁に公益性認定申請を行ない、その公益性を認定されれば「公益財団法人」として税制面の優遇を受ける事ができます。
一般社団法人との違いとは
「一般社団法人」は「人」の集まりに法人格が与えられ、一定の目的の為に集まった「人」の活動が重視されるので、お金が無くても設立が可能です。
一方「一般財団法人」は「財産」に対して法人格が与えられます。拠出された「財産」を一定の目的に活用することが重視されるので、設立には300万円以上の財産の拠出が必須条件となります。そして、2期連続して純資産が300万円以下となった場合は、事業の継続は出来ず強制的に解散となります。
一般財団法人設立に適した事業は…
一般財団法人は目的に制限がないと前述しましたが、適した事業、適さない事業はもちろんあります。一般財団法人を設立するのに適している事業の一例をご紹介します。
- 文化財の保護事業団体(美術や学術、芸術など)
- スポーツ振興事業団
- 奨学金事業団体、育英会
- 福祉活動団体
- 学校法人など
一般財団法人のメリット・デメリット
一般財団法人を設立するのには、当然メリットとデメリットが存在します。メリット・デメリットを知ることで、設立に向いた事業かどうか、設立した方がよいかどうかがわかるでしょう。
メリット
一般財団法人設立のメリットには次のようなものが挙げられます。
- 自由に事業をおこなうことができる
(事業目的=公益目的である必要はない) - 財産を拠出する人は1名でもよく、役員との兼任可能
- 法務局での投機は必要だが、官庁の許認可は不要
- 法人名義での口座開設・財産所有などが可能になる
- 「法人」と名がつくことでさまざまな場面で任意団体よりも信用力が増す
- 設立後に事業報告をする義務はない
- 非営利型に該当すれば税制優遇を受けることができる
- 公益認定を受ければ公益財団法人になることができる
デメリット
さまざまなメリットを見ると「ぜひ一般財団法人を設立したい!」と思うかもしれませんが、デメリットにも目を向け、設立した場合にメリットをきちんと活かせるか検討しましょう。
- 財産は300万円以上用意が必須
- 設立には理事3名、評議員3名、監事1名の最低7名が必要
- 剰余金の分配は不可
- 財団の目的について、変更の規定を定款に定めていないと変更は不可
- 少なくとも2年に1度は理事の重任登記が必要
- 拠出した財産の滅失などで事業ができなくなった場合は解散しなければならない
- 2期連続純資産額が300万円未満の場合も解散しなければならない
一般財団法人を設立しようと思ったら
メリット・デメリットを踏まえやはり一般財団法人を設立するのがベストだと判断したら、設立の準備に進みましょう。一般財団法人を設立する際の手順は以下の通りです。
定款の作成・認証
まずは株式会社などと同じく、定款の作成と認証を行います。定款を作成したら、公証役場で公証人の認証を受けましょう。
定款は内容に不備があると作り直しや一般財団法人設立後の事業に関わることがありますので、司法書士などのプロに相談しながら作成するのがおすすめです。
財産の拠出をおこなう
続いて、財産の拠出をおこないます。一般財団法人は資本金の代わりに、設立者が300万円以上の拠出をします。設立者は1名でも2名以上でも構いません。
拠出金は設立者(複数いる場合は代表1名)の銀行口座に振り込み、通帳のコピーを法務局に提出します。振り込みの際にはいつ、誰が、いくら振り込んだのかが明らかになるようにしましょう。
設立時の評議員などを選任
定款に定められた内容に従い、設立時の評議員などを選任します。必ず選任するのは理事3名、評議員3名、監事1名の最低7名ですが、必要に応じて会計監査人なども選任しましょう。
定款以外の書類を作成
定款以外にも用意する書類はいくつかありますので、漏れのないよう作成、準備をしましょう。一般財団法人設立に必要な書類には以下のようなものがあります。
- 設立登記申請書
- 設立者全員の決議書
- 財産拠出の履行を証明する書面
- 法議員、理事、監事などの就任承諾書
- 印鑑届出書
設立手続きの調査
設立時の理事、および監事は選任後、遅滞のないよう財産の拠出が完了していることや、一般財団法人設立の手続きが法令や定款に違反していないかどうかを調査します。
調査項目に問題がないと判断されれば、最後のステップに進みます。
登記申請
一般財団法人の事務所の所在地で登記申請をおこないます。登記申請は、設立時理事及び幹事の調査が終了した日、もしくは設立者が定めた日のどちらか遅い方から、2週間以内におこなう必要があります。
登記すべき事項や必要書類を事前に確認し、スムーズに申請が完了するようにしましょう。
まとめ
一般財団法人は非営利団体の1つですが、自由に事業をおこなえる、法人格になることで信用度が上がるなど、設立するとさまざまなメリットがあります。また、公益認定を受ければ公益社団法人として活動することも可能です。
設立にはさまざまな手続きが必要ですので、司法書士など会社設立、一般財団法人設立の知識や経験豊富なプロと相談しながら、設立の準備や手続きをすすめていきましょう。