会社設立

申請期限を過ぎたら罰金になる??

会社設立時には登記が必要ですが、経営するなかで登記内容に変更が生じた場合は変更の手続きをしなければなりません。今回は、登記変更の期限や罰則について解説します。

登記変更の期限が過ぎたら罰金はあるのか

登記変更には期限がありますが、期限内に変更を行わない場合にはお金を払わなければいけないケースもあるので注意が必要です。

変更登記の申請は2週間以内

会社の登記事項に変更点が生じた際には、2週間以内に変更登記の申請をしなければいけません。これは、会社法第915条で定められています。この2週間がどこからカウントされるかというのは登記内容によって異なりますが、たとえば取締役が新たに就任した場合、株主総会の決議で選任され、就任した日から2週間以内です。

ちなみに、申請は2週間以内が原則ですが、期限超過を理由に登記申請が受理されないということはありません。15日後、3週間後、1か月後に変更登記の申請を行っても、問題なく受理されます。

変更登記にかかる金額

主な登記内容の変更にかかる金額は以下の通りです。

変更登記は内容や会社の規模によって、費用が異なります。詳しくは法務局のホームページもご参照ください。また、変更登記を司法書士などの専門家に依頼すると、上記の額に依頼料も加算されます。

2週間を超えたら「過料」の制裁を受ける可能性が

登記変更の期限である2週間を超えても変更の受理はされると前述しましたが、2週間を越えて変更の手続きを行った場合、過料の制裁を受ける可能性があるので注意が必要です。

過料の支払いは登記懈怠(とうきけたい)が原因です。懈怠には登記懈怠のほか、選任懈怠というものもありますので簡単に解説します。

登記懈怠(けたい)とは

選任決議はしたけど変更登記を怠り、期限である2週間を超えて変更の手続きを行うことを登記懈怠といいます。

選任懈怠とは

一方の選任懈怠は、選任決議の必要があるのにそれ自体を行わないなど、登記変更の前段階の内容を怠っているケースです。

過料の金額や通知の時期は?

登記懈怠により求められる過料の支払ですが、金額の相場はどれくれいなのでしょうか。また、過料の通知は会社にいつ届くのでしょうか。

過料の金額の相場

会社法第976条では、過料の金額を裁判所が100万円以下の範囲で決めることが定められていますが、金額の基準などは明らかにされていません。
変更登記の期限を大幅に過ぎれば金額が高くなる、というシステムのようですが、満額の100万円を支払うよう命じられた、という話は聞いたことがありません。

過料の支払いを実際に命じられたケースを見てみると、数万円から10万円であることが多いです。

過料の通知はいつくる?

過料の通知は、期限を超えて変更登記の申請したことを知った登記官が、裁判所に報告し、その後裁判所経由で伝えられるという流れになっています。よって、変更登記の申請時や申請後すぐに通知がくることはなく、数週間から長い場合は数か月ほど経って届く場合もあります。
また、過料の通知は会社ではなく代表者の個人宅に届きます。裁判所からの通知が自宅に届くのは、特にご家族のいる代表者の方は不安かもしれません。やはり変更登記の申請は早めに行うのが賢明です。

過料についての補足

法律上の登記義務を知らなかった場合でも、怠れば過料に処せられます。また、「100万円以下の過料」といわれると、罰金のようなイメージを持たれるかもしれませんが、刑法上の罰金や科料(軽い刑事罰)とは異なり過料は軽い行政罰なので、前科になることはありません。
さらに、支払った過料は会社の経費や損失にすることができないので注意が必要です。過料に処せられないよう早急な変更手続きを行うのがベストですが、万一過料の通知が届いた場合には、その扱いについて司法書士など専門的な知識のあるプロに相談することをおすすめします。

こんなときは迅速に登記変更の手続きを

登記変更の手続きを怠ることは過料に処せられるだけでなく、会社の誤った情報を長期間公にすることにも繋がります。特に以下の内容に変更が生じた場合は、迅速に手続きを行いましょう。
日常的な業務に追われていると、2週間はあっという間に過ぎてしまいます。司法書士・税理士などのプロの力もうまく利用しながら、計画的にものごとを勧めるようにしてください。

本店所在地の変更

自宅から事務所、小さな事務所からビルの一室へなど、会社の住所を変更するときには本店移転登記を行います。本店移転登記の期限は、移転先で営業を開始した日から2週間以内です。

役員の変更

役員には任期があるため、会社を長年経営していると、役員変更登記は必ず経験します。株式会社の役員任期は最長で10年で、任期が切れたら新しい役員を決めます。
役員は同じ人が再度なることも可能ですが、一度退任してもう一度就任するという形なので
退任と再就任の登記が必要になります。

他にも、

  • 役員交代
  • 結婚や離婚などによる役員の氏名変更
  • 引っ越しなどによる代表取締役の住所変更
  • 任期の途中で役員が亡くなってしまった

という場合にも変更登記が必要です。

事業目的の変更

法人は会社設立時に決めた事業目的に沿った事業しか行うことができません。ですから、事業目的に記載のない新たなビジネスを始める場合には、目的変更登記を行う必要があります。
日常的な業務に追われていると、2週間はあっという間に過ぎてしまい
目的変更は、株主総会の特別決議で会社の事業目的を変更した日から2週間以内に手続きを行います。

その他

上記の3点は会社の重要事項の中でも特に変更の多い内容ですが、他にも

 

  • 商号(会社名)変更
  • 公告方法の変更
  • 機関の設定・廃止に関する変更
  • 株式に関する変更
  •                 

  • 資本金額の減少
  • 会社の合併や解散、清算

など、さまざまな場面で変更手続きが必要です。登記内容に関わる内容を変更する場合には、手続きの有無や期限をあらかじめ確認し、計画的に進めるようにしましょう。

月末締め、翌月払い

給与の支払いを、「月末締翌月払い」とすることで、1月目から6月目までの給与として、実質は5か月分の給与のみ計算額に入れる。

給与の一部を下期の賞与にまわす

賞与も給与の計算に含まれますが、下期にまわすことで、計算額から外れます。

まとめ

会社の登記変更には期限があり、超過すると過料に処されます。過料は100万円以下と定められていますが一般的には数万円~10万円ほどである場合が多く、前科にはなりません。
登記変更が生じた場合は過料に注意し、期限内に正しく手続きを行うことを意識しましょう。