会社設立

投資会社とは?設立の方法やメリット・デメリットを詳しく解説

個人投資家が多くの収入を得るようになったら…投資会社の設立を視野に入れることも多いのではないでしょうか?投資会社を設立し、個人投資家から法人化することには、多くのメリット・デメリットがあります。
この記事では、投資会社とは何か、設立の方法やメリット・デメリット、更に、投資会社の設立方法までを一挙にご紹介します。

投資会社とは?設立は難しい?

まずは、投資会社とはどういったタイプの会社か、どのように設立するかを解説していきます。

投資会社とは

投資会社とは、投資家(資金提供者)から資金を集め、利益を上げる会社のことを言います。別名ベンチャーキャピタルとも呼ばれています。投資会社というと、ベンチャー企業への出資や破産した会社の買収などをイメージする人も多いですが、不動産・債権なども投資対象とされています。
本来、投資会社とは投資信託を発行している会社を指します。投資信託を発行している、いわゆる証券会社として有名な企業には、

  • SBI証券
  • 楽天証券
  • 松井証券
  • 野村證券
  • 大和証券

などがあります

投資会社設立は難しい?

前述した大手証券会社のような投資会社は、設立するのに最低5,500万円の費用が必要です。また、報告書や規制、維持費用など壁も多いので個人投資家の法人化第一歩としては容易なことではなく、非現実的。
とはいえ、投資家が投資会社を設立することができないということはなく、投資で得た報酬を有意義に使うための法人化、会社設立は可能です。
個人投資家が投資会社を自分で設立する場合、基本的な手続きや費用は株式会社を設立するのと同様。会社を設立する自体、決して簡単な道のりではありませんが「投資会社だけは特別な手順を挟む」といったことはないので、個人投資家よりワンランク上を目指す手段として法人化をおすすめしたいです。

投資会社を設立するメリット・デメリット

投資会社の設立は一般的な株式会社と同じ手順であることがわかりましたが、個人投資家が法人化し、投資会社を設立するのにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

投資会社を設立するメリット

投資会社を設立するメリットは以下の4点です。

①所得税が安くなる

所得税は所得によって支払額が変動します。個人投資家の場合、最高税率はなんと45%。一生懸命稼いだお金の半分近くも国に支払うのは、いくら納税が義務とは言っても辛いものがあります。
投資会社を設立した場合、所得に対する税金、つまり法人税は最高でも所得の23.4%。報酬が多い投資家、目安でいうと所得が500万円を超えたら、法人化を考えると良いのではないでしょうか。

②経費の範囲が広がり、節税になる

個人投資家は事業のために使ったお金でも、経費として認められないこともあります。投資会社を設立して法人化すると、法人は経費対象が非常に広くなります。
個人事業主では経費扱いされなかったものも、法人だと経費として計上できることも多いので、低い所得での申告が可能。収入が多い投資家は法人化で節税対策をすることもできるのです。

③赤字を最長9年繰り越せる

個人投資家で白色申告をしていると、赤字繰り越しはできません。青色申告の場合は3年間繰り越しができますが、法人化すると最長で9年も赤字繰り越しが可能になります。
どのような業種でも赤字になることはありますが、投資家は特に多額の赤字が発生する可能性が高いジャンル。ですから、長きにわたって赤字繰り越しができるというのは、非常に大きなメリットだといえます。
赤字繰り越しの例を挙げると、前年100万円の赤字があり、今年の利益が150万円だった場合、通常税金は150万円に対してかけられます。しかし、赤字繰り越しをすることで150万円-100万円、つまり50万円が課税対象となるわけです。
赤字が無いに越したことはありませんが、もしものときのリスクを考えると、ある程度利益を上げている個人投資家は法人化してさまざまな恩恵を受けるのが良いのではないかと思います。

④社会的信用が高まる

一般的に、個人より法人の方が社会的信用度が高いと言われていますが、これは投資家にも当てはまります。個人投資家として活動するよりも、投資会社を設立した方が世間からも信用できる投資家として見てもらえますし、金融機関での借入もスムーズです。
投資家は大きなお金を動かす業種なので、特に金融機関には「安心してお金を貸せる相手」だと、信頼を置いてもらっていた方が良いでしょう

投資会社を設立するデメリット

続いて、投資会社設立のデメリットをみましょう。

手間がかかる

個人事業主の場合、開業届を1枚提出することで手続きはほぼ完了しますが、投資会社を設立するとなるとそうはいきません。様々な書類を準備し、資本金をかき集め、定款を作成し、設立登記をする…。設立後も社会保険の手続きに行ったり法人口座を作ったり、決算公告をしたりとやることは山ほどあります。
投資会社に限らず、会社を設立する、法人化するのには本来の業務以外の多くの手間がかかります。また、設立にはそれなりに費用も必要です。「節税になるなら法人化しよう」などと軽い気持ちで臨むことはやめておいたほうが賢明でしょう。

固定費が高い

会社設立時の費用に加え、法人化すると月々の固定費が上がります。社会保険の加入は義務なので、1人法人でも自分の保険料を支払わなければなりません。また、法人住民税も発生し、これらは赤字でも支払う必要があるので、所得が高くない投資家は固定費だけで苦しい思いをする可能性があります。
高い固定費を支払っても尚、法人化するメリットの方が大きい場合には投資会社を設立すると良いですが、そうでない場合は急いで法人化するのはおすすめできません。

投資会社の設立方法

メリット・デメリットを理解した上で投資会社を設立したいと思ったら、会社設立の準備を進めていきましょう。
投資会社の設立方法は、一般的な株式会社設立と同じです。0から100まで自分で行うという人もいますが、全て自分で行うと時間や手間がかかり本来の業務に集中できないこと、ミスをしてしまうリスクが大きいことなどから、司法書士などのプロに相談し助言をもらう、ある程度任せるという人が多いです。
会社設立の手順は以下の通りです。

定款の作成と認証

定款(ていかん)とは、設立した会社の活動や目的、業務執行などについての基本的な規則のことです。定款には

  • 絶対的記載事項
  • 相対的記載事項
  • 任意的記載事項

の3つの記載事項があります。絶対的記載事項は、定款に必ず記載しなければならない6項目のことで、これがないと定款全てが無効となるので注意して作成しましょう。
定款の作成が完了したら、記載が正しいかどうかを第三者に認証してもらいます。認証は本店所在地を管轄する「公証役場」で行います。確認して、不備がなければ認証は完了です。

資本金払込み

資本金は、定款に記載した金額を払います。振込の必要がありますが、この時点ではまだ法人口座がありませんので、個人の銀行口座に振り込みます。
振り込んだ通帳の表紙と1ぺージ目、振込の記載があるページをコピーし、作成した払込証明書と一緒に綴ります。

設立の登記

定款作成・資本金の払い込みが完了し、必要な書類がそろったら、いよいよ設立登記を申請します。法務局へ行き、登記申請を行いましょう。

以上が投資会社設立の大まかな流れになります。簡単に見えますが、1人で行うとなかなか大変です。
また、設立登記をもって会社設立が完了!というわけではなく、設立申請後にも、社会保険加入や法人口座の開設など、手続きはたくさん残っています。リストを作るなどして、1つも漏れのないように行いましょう。

投資会社を設立する前に…

投資会社は、設立自体は株式会社などと同じなので、特別な準備などは必要ないといえます。しかし、個人投資家が投資会社を設立する場合には、まず投資家としての実績を上げることが大切です。
投資家としての経験や実績は、個人の信頼に繋がります。いくら法人化によって社会的信用度が上がると言っても、投資家の力量が法人化するレベルまで到達していなければ、投資会社としては信用が薄くなってしまいます。
また、節税や赤字繰り越しなどもちろんメリットはたくさんありますが、良い部分ばかりに目を向け安易に法人化してしまうと、高い固定費に苦しむことにもなりかねません。
会社設立には時間や手間、費用が多くかかりますので、すぐに法人化を選ぶのではなく、まずは個人として経験や実績を重ねましょう。その上で「法人化した方がメリットが多い」「法人化して更に事業拡大できる、収益を上げていける」と判断した場合のみ、綿密に準備をして会社を設立するのがベストだと言えるでしょう。

まとめ

投資会社の設立自体は特別難しいものではなく、一般的な株式会社設立と同様の費用や手続きで完了します。重要なのは投資家としてどれだけの実績を上げてきたか、そして今後、どれだけの収益が見込めるかです。
投資会社を設立したら、法人化による多くのメリットを活かし、更なる事業拡大を目指してより一層力を入れて業務に取り組んでいきましょう。